厚労省 生産性向上モデル事業 ―介護現場革新会議 熊本県パイロット事業―

日本は現在、少子高齢化で人口減少が進んでおり、特に今後現役世代が急減することが見込まれています。これは介護サービスを提供する介護業界においても人材環境はさらに悪化することを意味します。

このため、厚生労働省は総合的な人材確保対策と現場の生産性向上(サービスの質を確保・向上しつつ、現場の業務を効率化、働きがいのある職場をつくる)を行っていくことに大きく力を入れています。

厚生労働省は 「介護現場の革新会議」を開催し、平成30年度TRAPEも作成に深く関わった介護サービス事業における生産性向上に資するガイドラインをブラッシュアップするために、全国7地域でそのパイロット事業を実施しました。

TRAPEはそのうち熊本県の「介護現場革新会議 熊本県パイロット事業」の事務局運営、現場介入デザイン・介入を行いました。

今回TRAPEは、生産性向上に取り組む「本質的」意味合いである現場職員の「働きがい」を向上することを目指しました。そしてそれを達成するため、そのプロセスにおいて重要な事業所ビジョン実現、生産性向上の取り組みを行う現場リーダーの挑戦に伴走しました。

事業名 「介護施設等における生産性向上に資するパイロット事業のうち
熊本県におけるコンサルティング等一式」
年度 令和元年度
実施主体 厚生労働省 老健局 高齢者支援課
協働先 株式会社三菱総合研究所

 

モデル事業所として一緒に取り組んだ熊本県内事業所

施設A 御薬園グループ 介護老人保健施設 リバーサイド御薬園
施設B 社会福祉法人寿量会 特別養護老人ホーム 天寿園

 

事業の目的・ビジョン

  • 現場の負担軽減と介護の質の維持向上の両立を可能とする介護現場のマネジメントレベル向上
  • 実際の業務改善や職場づくりを通じたマネジメントができる現場リーダー・スタッフの育成
  • 事業成果の県内全域への横展開による各事業所における継続的・自律的な人材確保と介護の質向上
  • 業務改善により自信を得た現場リーダー・スタッフを主役とした介護現場からの魅力発信・将来人材の呼び込み

 

産み出した価値

  • 自分ゴト化
    現場の不満や非効率を環境や経営のせい(=他責)にするのではなく、自分たちの働きがいのために、考え、行動し、自分たちの職場や業務を変えるんだ、という意識の浸透。
  • 実体験による成果の実感、成功体験
    短期間のなかでも、現状把握から課題分析、改善目標設定、集中的な取り組み、成果振返りという一連の生産性向上プロセスを小さなトライを繰り返し行い、リーダー自身が学びながら粘り強く改善に挑戦。
  • ビジョン浸透・人材育成
    リーダーとスタッフ、リーダー同士、リーダーと事務局、など多くの形で対話の徹底を促し、リーダー達は伝え方を工夫したり、何度も繰り返したりと試行錯誤しながら、自分の考え方を他者に理解してもらうことの難しさと大切さを実感。また、取り組み意義をスタッフと対話し続けることで、業務の意味合いや、目指す価値、事業所ビジョンを浸透させ、やりがいのある職場づくりにつなげた。
  • 働きがいの向上
    直接的に関わった現場リーダー、間接的に関わった現場スタッフたちの働きがい、プライベート充実度が定量的・定性的に向上しました。

 

TRAPEの介入前後に行ったアンケートにて、個人・定性面についての現状認識、ワークエンゲージメントのどちらも「向上している」という結果を得ており、アウトカムとして組織にとっての経済的効果や心身の健康、組織行動・パフォーマンスの向上につながっていることが考察されました。

 

施設A:

1. 個人・定性面についての現状認識(プライベートの充実度など)

62%→68%(+7%

2.ワークエンゲージメント(仕事に働きがいを感じ、いきいきできているか)

44%→48%(+4%

 

施設B:

1.個人定性面についての現状認識(プライベートの充実度など)

68%→81%(+13%)

2.ワークエンゲージメント(仕事に働きがいを感じ、いきいきできているか)

53%→67%(+14%)

 

事業成果物

介護分野における生産性向上ガイドライン

– 施設・事業所向け 本編(改訂版)前編 ・ 中編 ・ 後編
– 自治体向け 本編(改訂版)

 

本事業での取り組みの様子はBLOGページでも紹介しています