岡山県発|“なぜ・何を・どのように”の言語化が介護テクノロジーを最強の相棒に変える

岡山県発|“なぜ・何を・どのように”の言語化が介護テクノロジーを最強の相棒に変える

介護現場の生産性向上に関するガイドラインの作成など、2017年から国の施策づくりに関わり介護分野の変革をリードしてきた株式会社TRAPE(本社:大阪府大阪市、代表取締役社長:鎌田大啓)は、ウェルビーイングにあふれた介護事業所の実現を目指し、現場の業務改善やDXに不可欠な「チームづくり」や「課題の見える化・分析」を支援する無料のオンラインツール「生産性向上くん®」の提供と、「生産性向上」「働きがい向上」「リーダー育成」を同時に実現する伴走支援サービス「Sociwell(ソシウェル)」を展開する中で、令和7年度 岡山県介護生産性向上総合相談センター様(公益財団法人介護労働安定センター岡山支部様が岡山県より受託)の業務アドバイザーを受託し、岡山県内で生産性向上の取組みを行う3つのモデル介護事業所に対して伴走支援を実施しました。

なぜ介護現場に生産性向上の取組みが必要なのか

介護現場では、人材不足や業務の多忙化が進み、本来介護職員が価値を発揮すべき利用者との関わりに、十分な時間を確保しにくい状況が生まれています。奈良県においても、人口減少や高齢化による介護人材確保が困難な状況であり、こうした中で求められているのが、業務の進め方や役割分担を見直し、必要に応じてテクノロジーも活用しながら、現場に余力を生み出し、「自分たちのありたい姿」を実現するための「生産性向上」の取り組みです。

一方で、国によるICTやロボット機器の導入促進が進む中でも、現場からは「導入したけれど使いこなせない」「何から手をつければよいかわからない」といった声が少なくありません。つまり、テクノロジーを導入すること自体が目的ではなく、現場の目線をそろえ、現場の課題に合った形でテクノロジーを活用することが重要です。

弊社は、岡山県介護生産性向上総合相談センター様の業務アドバイザーとして、モデル介護事業所への伴走支援を担いました。今回ご紹介するモデル介護事業所の実践は、現場が介護テクノロジーの活用や仕組みの構築によって働き方の変化を生み出した好事例です。ぜひご覧ください。

3つのモデル介護事業所の取組み内容と成果(一部) 

医療法人社団良友会 介護老人保健施設藤崎苑
課題:導入したインカムの活用ができておらず、コール対応時に職員の重複訪問が発生し、現場の業務遂行が非効率であった
取組み:コール対応における役割分担の明確化とインカムの活用ルールを作成した
成果: インカムの活用によって重複訪問がほとんど発生しなくなり、見守り業務に対する充実感が増加した

株式会社楽喜 ヘルパーステーションあゆむ
課題:記録や情報共有のルールや使うツールが明確でなかったため、職員間で利用者の情報が十分に伝わっていなかった
取組み:記録・情報共有にどのツールを使用するのか、いつまでにどのような内容を記録・発信するのか基準・ルールを作成した
成果:情報を確認・発信する場所が明確になることで、必要な情報が探しやすくなり、業務に関する迷いが減少した

株式会社セラヴィ グループホーム咲くら
課題:職員によって業務の優先順位が異なり、リビングの見守り職員が不在となって、休憩中の職員が利用者対応に入っていた
取組み:勤務帯ごとの業務の流れや役割分担を見直した
成果:業務の優先順位が明確になり、業務効率向上により利用者対応時間が増え、リビングでの転倒事故がなくなった

【取組みにより事業所から出てきた前向きな変化の声】

  • 常に残業していた職員が定時に帰れる日が増え、1日あたり約1時間の残業時間削減を実感できる日もある
  • 職員間のコミュニケーションが改善し、連携がスムーズになり、職場の雰囲気が明るくなった
  • 新人職員から 「誰に聞いてもすぐ返ってくる」 、「職場が明るい」 と評価されるようになった
  • 各ツールの役割(どこに何を入れるか)が明確になり、スタッフ間の情報共有の質が向上した
  • 手順書の作成において、管理側だけでなく現場職員がたたき台を作り、リーダーが修正するという協働の形が生まれた
  • 以前は「自分が倒れたら終わり」という強いプレッシャーがあったが、他の職員も仕事を理解してくれるようになり、心の重圧が軽くなった
  • 「誰でもできるゆとりのある時間配分」を意識した業務チャートを作成・導入したことで、ユニットの入れ替え勤務の際にも 「分かりやすい」 と職員から好評だった
  • 休憩がしっかり取れるようになり、休憩時間に車で外に出たりすることが自由にできるようになり、これは以前の体制では絶対にできなかった

テクノロジーが主役ではない—介護現場の働き方改革を成功に導いた“本当の鍵”

可能性あふれる介護事業所の経営・運営を実現するうえで、テクノロジーの活用は「最強の相棒」と組むことに等しく、非常に重要です。しかし、テクノロジーをただ導入するだけでは、かえって経営・運営を苦しめる結果にもなりかねません。

今回、うまく活用できていなかったテクノロジーが現場の可能性へと変わった背景には、現場職員との対話を重ねながら、「何に困っているのか」「なぜうまくいっていないのか」を丁寧に整理したことがあります。

インカムの活用がうまくいっていなかった藤崎苑様において、コール対応の中でインカムが活用できるようになったのは、コール対応の役割分担とインカムを活用する場面を明確にしたことが要因でした。つまり、単にテクノロジーを入れるのではなく、それをどのように活用していくのかを現場職員でしっかりと目線合わせをすることが大切だということです。

インカムの活用による「楽になった」「うまくいった」という成功体験により、取り組みが「やらされるもの」から「自分たちで進めるもの」へと変わっていきました。現場職員がワンチームになることで、テクノロジーが真に「最強の相棒」となることが、実践を通じて証明されたのです。

こうした地道な対話の積み重ねは、テクノロジーの活用や業務改善の定着にとどまらず、職員の主体性を引き出すことにもつながります。実際に現場から意見や提案が生まれるようになり、チームで協力しながら課題解決を進める土台が築かれました。その結果、職場の雰囲気にも前向きな変化が生まれ、働きやすい環境づくりへとつながっています。

モデル事業所の経営者様からの声のご紹介

医療法人社団良友会 
介護老人保健施設藤崎苑
介護事業所統括
虫明 雄基様 

 「介護老人保健施設 藤崎苑」では、生産性向上を図り「顧客満足度の向上」を進める為に「人材育成」「職員(チームケア)の質の向上」「情報共有の効率化」に2023年度より積極的に取り組んできました。
2025年度は「介護ロボット・ICT機器・リハビリ機器・福祉用具等のメーカーとの意見交換会(事業所内研修)11回」「施設・病院見学、展示会での意見交換会(事業所外研修)6か所 累計18名参加」「デジタル中核人材研修(業務改善を推進できる人材育成)13名受講」「岡山県 令和7年度介護生産性向上伴走支援モデル事業所の指定(外部での事例発表)」「ケアプランデータ連携システムの導入(居宅介護支援事業所との連携強化)」「入浴機器(シャワー浴、泡シャワー)の導入」「生産性向上委員会の立ち上げ」等の取組みを進めてきました。
その中でも「人材育成」「職員の質の向上」には特に力を入れており、職員の定着率が「89.6%」と職員の定着にも繋がっています。また、「地域包括ケアシステム」に沿い「多職種連携(他事業所を含む)」や、「地域の事業所と連携を強化」を図った事で、稼働率も「94.0%」と回復しており在宅復帰率も「41.5%」と過去5年間で最も高い水準になりました。

 当事業所では、部署毎で「生産性の向上(顧客満足度の向上)」に対する取り組みを行っており、一つの部署で「インカムの活用(見守りの強化)」に関する課題に取り組んでいる最中に、約2か月間と短い期間ではありましたが「(株)TRAPE(伴走支援者)」に、強固な協力体制を築いて貰いました。「生産性向上くん®︎」の活用についてご提案頂き「職員が感じていた課題」が可視化出来た事で、「取り組みへの姿勢」がより強くなり「生産性の向上」に繋がりました。
2026年度も「協力医療機関の拡充」「地域の事業所との連携強化」「メーカーからの機器開発(生産性向上に資する)の相談」「研究発表への取組み」「ナースコール(見守りの強化)の入替」「バイタル機器(職員の負担軽減)の導入」「生産性向上推進体制加算の取得」等を進めているところです。
引き続き、ご利用者を中心とした「地域包括ケアシステム」に取り組む事で当事業所が地域から信頼される様に日々精進して参ります。貴重なご支援ありがとうございました。

株式会社楽喜 
ヘルパーステーションあゆむ
代表取締役
下川 和歩様

 今回のプロジェクトで最も大きな成果は、サ責を中心とした職員一人ひとりの成長だと感じています。限られた時間の中でも、現場で起きている課題や問題を可視化し、対話を重ねながら一つずつ乗り越えていく姿勢は非常に素晴らしいものでした。
業務改善は、ツールで一気に解決できるものではありません。今回の取組みで得た「考える力」「話し合う力」「仕組みをつくる力」 こそが、今後の法人の大きな財産になると感じています。
 この経験を、訪問介護だけでなく法人全体に広げ、職員が成長し続けられる組織づくりにつなげていきたいと考えています。

株式会社セラヴィ 
グループホーム咲くら
施設長
広国 順子様

 最初の課題からスタッフのアンケート結果により違う課題が見えてきた中で、TRAPEさんのアドバイスもあり、最後までやり遂げることができたと思います。
今回の取り組みではスタッフ間での業務内容の統一化という点で、ゆとりをもって業務にあたるにはどのようにしたらよいか?という課題に対して取り組む中で、日中の見守り体制の強化もでき転倒の軽減という成果につなげることができました。
課題に取り組む中でスタッフ間でのコミュニケーションの強化、情報共有の必要性も同時に学べたと思います。
今後も日々の業務の中で出てきた課題を可視化し、咲くらの理念である「おもてなしの心・挨拶と礼儀」をスタッフで共有し、ありがとうの言葉で笑顔あふれる施設運営をしていこうと思います。

介護労働安定センター岡山支部様からのコメント

(公財)介護労働安定センター岡山支部
金平 一広様

 岡山県では令和7年度介護現場の生産性向上の取組で、3事業所でTRAPE様と伴走支援を行いました。スタートが遅れ11月開始となり、期間としては4か月弱と短い取組となり、事業所さまも業務と並行してのギュッとつまった伴走支援で負担も大きかったかと思いわれます。しかし、しっかりすすめていただき課題の解決に結びつきました。その要因は事業所さまの中で一体となって、リーダーを中心に「自分事として」「対話」が進んだこと。またそこにはTRAPE様のこの事業に取組むぶれない軸と手法があったからだと思います。

今回の伴走支援先のある事業者様にお邪魔した時に、さりげなくホワイトボードにA4ほどの用紙が貼ってありました。そこには“ハチドリの一滴”とありました。『森火事に一滴ずつ水を運ぶハチドリに対して、森から逃げた動物たちは「そんなことして何になるのだ」と笑います。ハチドリは「私は、私にできることをしているだけ」と答えました……。』
どの事業所さまにも同じく理念があり、介護をよくしようという思いをもって職務に取組む管理者、リーダー、職員のみなさまがおられます。そこにTRAPEさまの具体的な生産性向上取組手法が加わって鬼に金棒になりました。たとえば「生産性向上くん」というソフトを使って、みんなのアンケートでその結果を色で分かり易く見ることができる。SlacKというツールでいつでも質問や会話ができる。そして絶妙な距離感でアドバイスいただけるあったかい(熱い?)アドバイザーの存在。事業所さまとTRAPEさまの化学反応が起こったようでした。

今回は事業所のみなさまとTRAPEさまと一緒に仕事ができて、すべてがよい体験でした。またここからがスタートなりますが、みなさま本当にありがとうございました。

主な事業実績先
厚生労働省
広島県
静岡県
山梨県
岡山県
石川県
和歌山県
神奈川県
滋賀県
愛知県
埼玉県
横浜市
柏市
堺市
山形市
寝屋川市
公益社団法人 全国老人福祉施設協議会
介護職業サポートセンターひろしま
あおもり介護生産性向上相談センター
国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター
社会福祉法人 横浜市リハビリテーション事業団
公益財団法人 いきいき岩手支援財団
社会福祉法人 兵庫県社会福祉事業団
FUJITSU 富士通Japan
freee株式会社
山梨県介護福祉総合支援センター
公益財団法人 介護労働安定センター 大阪支部
公益財団法人 介護労働安定センター 奈良支部
公益財団法人 介護労働安定センター 山口支部
公益財団法人 介護労働安定センター 鳥取支部
公益財団法人 介護労働安定センター 佐賀支部
公益財団法人 介護労働安定センター 石川支部
公益財団法人 介護労働安定センター 茨城支部
公益財団法人 介護労働安定センター 香川支部
シルバー新報
月刊高齢者住宅新聞
シルバーケア新聞
あいちロボット産業クラスター推進協議会
社会福祉法人 愛媛県社会福祉協議会
一般社団法人 栃木県老人福祉施設協議会
一般社団法人 鹿児島県老人福祉施設協議会
一般社団法人 新潟県老人福祉施設協議会
社会福祉法人 徳島県社会福祉協議会 徳島県老人福祉施設協議会
岡山県老人福祉施設協議会
広島県老人福祉施設連盟
社会福祉法人 青森県社会福祉協議会
社会福祉法人 富山県社会福祉協議会
一般社団法人 山形県老人福祉施設協議会
北海道デイサービスセンター協議会
岐阜県デイサービスセンター協議会
福井県デイサービスセンター協議会
九社連老人福祉施設協議会
佐賀県介護老人保健施設協会
広島県介護老人保健施設協会
一般社団法人 滋賀県介護老人保健施設協会
一般社団法人 全国介護事業者協議会
中・四国身体障害者施設協議会
一般社団法人 日本福祉用具供給協会 中国支部
大分県社会福祉介護研修センター