人材採用で大注目!リファラル(職員紹介)採用

人材採用で大注目!リファラル(職員紹介)採用
2021.05.17

昨年度、厚生労働省の事業で介護現場の生産性向上・働きがいセミナーを実施させていただき、全国の介護事業所の経営者・ミドルリーダーの方々に400名ほどにご参加いただきました。

その中で、最も多くいただいた声は「人手不足」です。
具体的には、人材の確保(採用)と定着に対する課題感でした。

この声のとおり、人材採用は年を増すごとに非常に難しくなってきています。
人材紹介会社に多額の手数料を支払ってでも人員を確保している介護事業所も増加しているようです。

WAM(福祉医療機構)の分析によると、社会福祉法人の2017年度から2019年度までの3か年の人材確保の状況をみると、採用率は低下傾向にある中、離職率は少しずつ上昇しており、人材確保の厳しさが増していることを表す結果となっています。

また、厚生労働省が2019年12月に公表した「医療・介護分野における職業紹介事業に関するアンケート調査」の集計結果によると、民間職業紹介事業者を利用した採用においては、半年以内に4割弱の介護職が離職しているという実態が明らかにされており、人材採用だけでなく定着してもらうことの難しさが表されています。

どの事業所も悩むこの「人材の確保(採用)と定着」に非常に効果的な方法こそが、リファラル採用なのです。

近年大注目されている人材確保(採用)方法

リファラル採用とは、単純にいうと、「今いる職員に、知人や友人を誘ってもらう」採用方法です。

なぜこの方法が強力なのかというと、法人理念やカルチャー、そして現場の実情を理解している今の職員がリクルーターの役割を果たすことで、事業所と応募者のミスマッチを防げるからです。

リクルーターとなる職員は通常、人柄・性格・能力などを知っていて一緒に働きたいと思える人に声をかけますし、応募者も事前にその職員から法人の実情や良いところなどを聞いたうえで応募してくれることで、「思ってた職場と違う」「聞いてない」などのミスマッチが起こりにくいということです。

さらに、もともと良い関係の知り合いがいる職場なので、自然と定着率も上がります。

リファラル採用が広がっている背景

少子高齢化による生産労働人口の減少や、テクノロジーの進化などによる「働き方」の多様化が背景要因と言えるでしょう。特に介護業界は他業界に比べて有効求人倍率の高止まりが顕著となっています

このような状況の中、ただ求職者からの応募を待っていたり、合同説明会や紹介会社など既存の採用チャネルだけでは、自分たちの採用要件に合う人材と出会えない状況が続いてしまいます。

だからこそ、法人の採用担当だけが頑張る、という今までのやり方ではなく、「職員全員がリクルーター」となることができるリファラル採用を積極的に導入するようになってきているのです。

リファラル採用の5つのメリット

メリット1「採用後のミスマッチを防止」

採用責任者(経営層)と現場の職員とが、どのような人に入ってもらい一緒に働きたいかを日々対話しており、求める人材像が明確に共有されていることで、求職者への声かけの精度は高まるでしょう。

また、求職者は職員から法人理念、カルチャー、業務内容、福利厚生といった情報を伝えられているので、これらの内容を具体的にイメージした状態で入社することになり、入社後のミスマッチを防げる可能性が高くなります。

メリット2「職員のワークエンゲージメント向上」

職員がリクルーターとなって友人・知人に声をかけるため、職員が人事の役割を担っているともいえます。

その際に、職員自身が法人の理念・カルチャーで共鳴しているところや、どのような目的をもって日々現場で働いているかなどを求職者に語ることで、自らの思いと向き合う事となり、自己肯定感を増すきっかけになることでしょう。

メリット3「入社後の定着率向上につながる」

入所前のイメージと入職後のイメージに大きなミスマッチがないこと、知り合いがいるという安心感、最初から相談しやすいという環境などの影響から定着率は必然的に高くなる可能性が増します。

メリット4「採用コスト・教育コストの抑制」

定着率が向上することで求人広告の掲載費用、人材紹介サービスの紹介手数料などの外部コストをかけずに採用できることになり、コストを抑えられた分を現場職員に還元することもできるようになります。

また、新人職員が入ってくるたびに忙しい業務時間を割いて行われていた新人教育時間というコストも削減し、その分を職員のOJTにあてるなど、職員の働きがいを向上する時間に積極的に当てていく可能性が生まれてきます。

メリット5「潜在求職者へのアプローチと獲得競争の回避」

働き手は常に働きやすく、働きがいがある法人・事業所で働きたいと思っています。
友人・知人との何げない会話を聞いたことが、求職者の気持ちに火が灯るということもあります。

結果として、転職活動をしていない潜在求職者へのアプローチにつながり、さらに法人・事業所がオリジナルに発信している魅力に心が動いているわけなので、他社との人材獲得競争とは全く別のところで人材採用活動を行うことができる可能性を大きく広がります。

リファラル採用を行う際の重要ポイント

ポイント1:職員が友人・知人に自然と語りたくなるような「働きやすく・働きがいのある」介護現場である

職員が日々感じているそのままを友人・知人に語るからこそ求職者のココロを動かします。つまり、職員が日々自分が働いている職場について働きやすいと思っていたり、働きがいを実感していることが大前提となります。

この大前提がないと職員はなかなか友人・知人に声をかけようなどとは思わないでしょう。
もしこの前提がまだない場合は、最初の第一歩として働きがいに溢れる現場づくりを行いましょう。

ポイント2:経営者と職員が忖度なく日々自分たちの考えを「対話する環境・カルチャー」がある

新しい職員を迎えるということは、自分たちが目指すことをともに実現する仲間を増やすということです。今自分たちはどのような仲間を迎え入れたいのか、経営者と職員は常に対話してイメージを共有しておくことがとても大切です。

このためには日常の中で安心して遠慮なく自身の意見を発言できるという心理的安全性の担保された環境・カルチャーが存在することで採用ミスマッチのリスクを減らすことに繋がるでしょう。

ポイント3:信頼関係の上に成り立つしくみなので、権限・役割・物事の判断軸などがオープンになっている

リファラル採用は、経営者と職員、職員と求職者の信頼関係が大前提となります。経営者と職員は採用についての判断軸・権限・役割などについて事前に明確にしておき、それを互いに共有しておくことで認識違いというリスクを防ぐことにつながります。

あなたの法人・事業所でも働きがいがあり、対話する環境・カルチャーがある職場づくりを行って、リファラル採用に取り組んでみましょう!

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