ICFの環境因子を徹底解説!~情報収集方法から活用方法まで~

ICF(国際生活機能分類)は、利用者の「生きている全体像」を知るために有効なツールです。
以前、ICFの活用方法」というテーマの記事で、ICFというツールをどのようにケアに生かしていくのかをお伝えさせてもらいました。

ICFには5つの要素があります。
今回はより具体的に、そのうちの環境因子をどのように情報収集をして、環境因子が他の要素にどのような影響を及ぼすのかを解説させてもらいます。

ICFの5つの要素をおさらいしたい方はこちら

介護専門職の必修科目。利用者アセスメントのための世界標準「ICF」を学ぼう

 

環境因子についておさらい

福祉用具や建築などの「物的環境」、家族や友人などの「人的環境」、制度やサービスなどの「社会的環境」の3つの因子に分けられます。

  • 物的環境
    一軒家に住んでいる
    洋式トイレを使っている
    介護用ベッドを使っている

 

  • 人的環境
    家族構成
    家族の生活スタイル
    友人が近くに住んでいるかどうか

 

  • 社会的環境
    介護サービス
    近所にスーパーマーケットがある
    市役所が近い

など、環境因子は、利用者を取り巻くあらゆる環境を示します。
まずは、環境因子について、どのように情報収集していくのかをお伝えさせてもらいます。

環境因子の情報収集について

環境因子をはじめ、ICFのどの要素においても重要なのはケアプランや利用者の情報が載っているフェイスシートを活用することです。
今までの暮らし、家族構成、疾患、障害、趣味、動きなど様々な情報が記載されています。
まずは、ICFで今ある情報を整理することが大切です。

また、ICFで整理するときには、「友人が近くに住んでいる」という抽象的な表現ではなく、「2軒右隣(150m)に住んでいて、道中は舗装されている」などと具体的にすることで、目標設定の際の解像度があがり、利用者の思いを実現することにつながります。

それでは、「利用者、多職種・家族、観察」の3つの視点で情報収集についてお伝えさせてもらいます。

  • 利用者本人からの情報収集
    どのような家に住んでいるのか、家の周りはどのような環境なのか、家族との関係性はどうなのか。受け答えが可能な利用者の場合は環境因子に関する情報を得ることができます。
    しかし、あくまで利用者の”主観的な情報”であるということに注意が必要です。
    利用者からの情報を全て”正しい”と思い込むことは避けましょう。

 

  • 多職種・家族からの情報収集
    担当しているケアマネジャーさんからは、現在使用している他の介護保険サービス、主治医の情報や地域の資源のことをお聞きすることができるかもしれません。
    家族からはより具体的な家屋状況や周辺環境、家で使用している福祉用具についてお聞きすることができます。
    利用者からの情報を合わせることでより深みのあるアセスメントになります。

 

  • 観察による情報収集
    スタッフ自ら、利用者の家や医療・介護機関に出向き情報収集するのも一つの視点です。
    家に出向けば、段差を測定したり、家具の位置、お風呂の環境などを詳細に知ることができます。
    医療機関に出向けば、主治医がどのような考え方の人なのか、車いすで受診した時の対応、発熱時の対応などを知ることができます。

もし追及したいことがあるのであれば、実際に足を運んだり、3つの視点を意識しながら多角的に情報収集し、情報の確度を高めることが必要です。
何か課題解決をするときは、情報の正確性は非常に重要です。
自分の目で確かめるまでは、あくまで不確かな情報であるという認識を持っておくといいかもしれません。

環境因子はICFの他要素を意味づけする!?

ここからは、環境因子がICFの他要素にどのように影響を与えているのかを、「活動」を例にお伝えさせてもらいます。

活動について

日常生活行為や家事行為、余暇活動など、文化的・社会生活を送るうえで必要なすべての活動

  • 朝食を自分で作っている
  • トイレ動作のズボンの上げ下げに1分程度時間がかかる
  • 家の棚の上に置いてある衣装ケースをとることができるない
  • シルバーカーで200m程度連続して歩行ができる
  • 週末は1キロ先の美術館まで歩いて行っている

など、利用者が現在行っている活動を現したものになります。

例えば、「シルバーカーで200m程度連続して歩行ができる」という活動を取り上げます。
シルバーカーを使っていること、200mの連続歩行ができること。
これらの情報をどう解釈するべきでしょうか?

仮に「友人が300m先に住んでいて、道路は舗装されておらずガタガタの砂利道」という環境因子を情報収集していたとします。

そうすると、「200mの連続歩行ならば、途中で休憩が必要かもしれないな」「300m、連続で歩けるように持久力訓練が必要かな」「シルバーカーで砂利道を歩けるかな、車輪が大きいタイプがいいかもしれないな」などと活動の解釈ができるようになると思います。

違う利用者で、例え活動が一緒だとしても、環境因子が変わると、その利用者における活動の意味は180°変わることがあります。

そのためにも環境因子の情報収集を丁寧に行うと、個別機能訓練加算や入浴介助加算Ⅱの算定にもつながりますので、ぜひ明日から意識してアセスメントしてみてくださいね。

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プロフィール

橋本康太(ケアワーカー/理学療法士)

所属 TRAPE インターン、某社会福祉法人
TRAPEにて介護事業所における組織開発や人材開発を学びながら、自身でも介護事業所の設立に向けて準備中。