真実は、常に現場にある
STEP1は、経営層・ミドルリーダー・現場スタッフみんなで現場の気づきに向き合うことから始まります。現場の気づきには様々な課題が潜んでいます。
TRAPE’s Wayは現場で働く方々の働きがい・生きがいを高めることが目的です。そのためには、現場の気づきから課題を見出し、課題を解決することで生産性を高めることが必要です。
社会福祉法人寿量会様のケース「わっがわがプロジェクト」でも、今回のプロジェクトに関わった方々全員が現場で日々感じている気づきを出すということを行いました。
ここで、よくある間違いが「経営者やミドルリーダーが感じている気づきのほうが優先度高い」と考えてしまうことです。
働きがい・生きがいが生まれていない原因は現場にあることがほとんどです。だからこそ現場業務を再度見直す必要性が出てきます。現場でおきていることをさまざまな角度から見える化すること、つまり現場の方々が日々感じている声が非常に重要なのです。
(※もちろん、法人課題として様々なシステムが整っていないことが原因のこともありますが、現場の課題をやりきった後にこそ真の法人課題が浮かび上がってきます。)
みんなで気づきシートを書いてみる
現場の方々が日々感じている気づきを集めるために、気づきシートを活用します。これは平成30年度の厚生労働省のガイドラインに掲載されているものをTRAPEがアップデートしたバージョンです。気づきを出すだけではなく、その気づきについて、「課題」を「可能性」に変えるイメージも見える化できるようにしています。
この気づきシートを記入する際のポイントは3つです。
1.言いにくいことでも記載してもOK
リアルな現場の声にこそ「価値」があります。気を遣って言い出せないというのが一番良くないので、経営層・ミドルリーダーから何度も、「言いにくいことでもOK」と伝えます。
2.職種・勤務形態などを超えてあらゆるスタッフから気づきを集める
バックグラウンドが違うということは現場(業務)における見え方が違うはずで、多角的な視野から貴重な声がたくさん集まります。
3.できるだけ数多くの気づきを出す
気づきに正解などないので思いついたことをたくさん出すことで、ふとした気づきが真の課題に繋がったりします。
現場での運用
ミドルリーダーが現場スタッフに気づきシートの説明・記載・とりまとめを行います。この時にミドルリーダーから「協力的なスタッフがほとんどではあるが、中には 『?』 という表情のスタッフがいる。」と現場スタッフに気づきシートを書いてもらうことが難しいという声をいただくこともあります。
これは、STEP0で取組全体のイメージを持てていない現場スタッフの方がおられたということです。このような場合は、気づきシートの説明をする前に、再度STEP0のところに戻って説明してもらいます。
気づきシートの内容を深堀りする対話を行う
こうして、時にSTEP0の確認もしながら、集めた気づきシートを整理しまとめます。そして、まとめた気づきについて1つ1つ経営層・ミドルリーダーがどのように感じ、その気づきの背景にはどんな課題があるのかについて対話を行います。
対話の中での経営層・ミドルリーダーの声
社会福祉法人寿量会様のケース「わっがわがプロジェクト」では、全体で100件を超える気づきシートが集まりました。その気づきシートについての経営層・ミドルリーダーの主な声は以下のようなものでした。
・ネガティブ発言が多いなという印象
・同じような気づきが多くある
・ケアなども含め、日頃から私達ができていないところがよく出てきている
・「だよね」と共感/納得するような気づきが多い
・経営層として、直視すると目を伏せたくなるものもあるが、これが大事だと思う
実は、今回あがったような声は、「わっがわがプロジェクト」固有のものではありません。全国の介護事業所さまで行っても同じような声を経営層・ミドルリーダーのみなさんからいただきます。
つまりこの気づきの深堀りの対話は、経営層・ミドルリーダーが薄々感じていた現場スタッフの思いを改めて知る絶好の機会になるのです。
しかし、「直視すると目を伏せたくなる」気づきも中には入っています。それに対して、社会福祉法人寿量会の理事長さまは「直視すると目を伏せたくなるものもあるが、これが大事だと思う。」と仰られました。まさに、これがSTEP0で述べたよりよい介護事業、よりよい介護現場、その土台となる介護現場で働く方々の働きがい・生きがいを生み出すというTOPリーダーの強い決意なのだと思います。
もちろん、現場スタッフも気づきシートの内容について深堀りをしていきますが、それはSTEP2の「因果関係図の作成」で行います。
STEP2へ続く