今回の記事のテーマは、現場職員の皆さまが、ほぼ毎日行っている入浴介助です。
入浴介助中は、どうしても時間に追われてしまったり、利用者さんの意向通りに介助をすることが難しかったり、もどかしい思いをされているのではないでしょうか。
しかし、2021年4月からは入浴介助加算Ⅱが新設され、入浴介助というのを改めて問い直す必要性がでてきています。
現場職員に皆さまの中には、「これから入浴介助をどのように行なっていけばいいのか?」と疑問に思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事を読んだ後に、何も特別なことをする必要はなく、いつもの入浴介助に少しだけ新たな視点を加えて取り組むことで、ワンステップ上の入浴介助が可能となることが伝わっていると嬉しいです。
そもそも「入浴動作」とは?
入浴という言葉からは、お風呂に入るところをイメージされる方が多いではないかと思います。
しかし、実際に”お風呂に入る”ためには、どのような動作をしているでしょうか?
この図は一連の入浴動作を順番にまとめたものになります。
お風呂に入るためには、さまざま動作があることが理解できますよね。
入浴介助の工程をイメージする
ワンステップ上の入浴介助を実践するためには、入浴介助全体の工程を頭の中で考えたり、紙に書き出して、具体的にイメージすることが大切です。
しかし、施設の環境や利用者さんの身体の状況などが異なるため、施設毎に、かつ、一人一人の利用者さんに合わせたイメージを持つことが重要です。
実際に上記の「5 洗体」ついてさらに深堀をしていきます。
洗体動作一つをとっても、頭部〜陰部までに分けることができます。
頭部においては、上の図のように「シャンプーの認識」という認知的側面、「シャンプーボトルを押す」という体幹と上肢の運動、「洗髪」という上肢を挙げる運動に細分化することができますね。
「洗体」という抽象的な言葉を、どれだけ具体的な言葉で表現することができるかが重要です。
入浴動作のイメージができると、利用者さんのアセスメントにも役立ちます。
「できる動作」と「できない動作」を整理
入浴介助中は、時間に追われていることも多く、現場職員のペースで介助を行なってしまうこともあると思います。
しかし、ワンステップ上の入浴介助をするためには、利用者さんが行う動作の観察が必要です。
実際の現場では、先ほどお伝えしたように入浴介助の工程をイメージしながら観察を行います。
「シャンプーの認識」を確認したいのであれば、「シャンプーとリンスを間違わず認識できるかな?」という視点で利用者さんを観察します。
間違わずに認識できたらOKです。
その部分に介助をする必要はありませんよね。
もし認識が難しいのであれば、リンスやボディーソープなどシャンプー以外のボトルを一緒に置かないという介助もあり得るかもしれません。
最初から介助をしてしまっては、利用者さんの今ある能力の把握もできません。
まずは観察を行い、一つ一つ丁寧に、できる動作とできない動作を整理することが重要です。
そして、できないのであれば、「どうすれば利用者さん自身で行なってもらえるだろうか?」という視点で関わると、深みのあるより良いケアにつながるはずです。
最後に
今回は、ワンステップ上の入浴介助についてお伝えしました。
以下、重要なポイントとなります。
- 入浴介助の工程をイメージする
- できる動作とできない動作を整理する
- 介助する前に動作を観察する
全てを一度にチャレンジしようと思うと精神的にも身体的にもストレスが生じてくると思います。
「今週は入浴介助の工程をイメージしてみよう」、「来週はできる動作とできない動作の整理をしてみよう」というように、少しずつチャレンジしてみてくださいね。
さらに学びたい方へ
- アセスメントツールの一つであるICFについて学びを深めたい方はこちら
- 自立支援を実践できる人材になりたい方はこちら
プロフィール
橋本康太(ケアワーカー/理学療法士)
所属 TRAPE インターン、某社会福祉法人
TRAPEにて介護事業所における組織開発や人材開発を学びながら、自身でも介護事業所の設立に向けて準備中。