イギリスにおける「リ・エイブルメント」 vol.3 (サービスプロセス編)

イギリスにおける「リ・エイブルメント」 vol.3 (サービスプロセス編)
2020.01.20

イギリスにおける「リ・エイブルメント」 vol.3

― リエイブルメント サービスプロセス編 ―

 

TRAPE代表の鎌田が厚生労働省の事業において、ILC Japanのチームとイギリスの現地で調査、ヒアリングした「リエイブルメント」の第3弾です。

「リ・エイブルメント」は「対象者が自分とって意味のあるwellbeingな日常生活を取り戻す」というビジョンを追求するものです。

今回はリエイブルメントサービスを「サービス紹介」「サービス開始」「サービス提供期間中」「サービス終了時」に分けて、それぞれのフェーズのポイントをみていきたいと思います。

 

【サービスへの紹介】

支援を必要とする人がリエイブルメントチームに出会うルートはいくつかあります。

①GP(家庭医)からの紹介です。
相談に訪れた対象者をGPがリエイブルメントチームに紹介するかたちです。

②入院中の患者が退院に際して在宅での生活をスムーズに送ることができるように、病院の要請によって入院中あるいは在宅復帰後にリエイブルメントチームに紹介することもあります。

③対象者が自治体のソーシャルサービスによる支援を求めた際にリエイブルメントチームによるサービスが適切であると判断される場合もあり、多様な入り口が用意されています。

グレートマンチェスターの1自治体であるウィガン市では、複雑なニーズ、医療課題を持った人以外はソーシャルワーカーによるソーシャルサービスの対応以前に全員がリエイブルメントチームによるアセスメントを受けることとなっていました。

 

日本ではどうでしょうか。

リエイブルメント=短期集中サービスは総合事業の中で実施されており、基本チェックリストで対象者になった方もしくは要支援認定を受けた方が基本的なサービスの対象となります。

そして、ストーリーのはじまりは地域包括支援センター(=包括)や、包括から委託を受けたケアマネジャーから対象となった方々は短期集中サービスのインフォメーションを受けるということになります。

ウィガン市と同様に全員がまずリエイブルメント=短期集中サービスを活用するという流れは、日本の事例でも見受けられます。大阪府寝屋川市では、要支援状態になられた方々は包括、ケアマネジャーとの面談後、基本的に全員リハビリ専門職と地域包括または委託を受けたケアマネジャーで自宅訪問をし、アセスメント後通所型短期集中サービスへという流れとなっています。(※一部除外規定有)

 

【サービス開始時】

対象者のケア計画において、チームリーダーは対象者と多くの時間を割いて「対話」し、対象者が真に希望することや、望むこと/必要なケアが何か、どのようにケアを提供してほしいかについて理解するよう努めるのです。

日本でも、同様の流れを実施し、ニーズを聞いてプランを作成します。しかし、現実的に目標が具体的に設定され、具体的なプランニングができているケースは少なく、「対話」による「ニーズヒアリング」の内容の深掘りとアップデートが重要となっています。

 

【サービス提供期間に行うこと】

対象者にとってwell-beingな日常を再度手にいれられるように、6週間という有限な時間を最大限有効なものとするように様々な専門職が協働します。

大きな特徴は専門職の日常における「対話」量の多さにあります。

リエイブルメント提供事務所では2週間毎に、多職種によるフォーマルなレビュー会議が行われ、その討議内容によって対象者のケアプランおよびニーズは定期的に見直されるのです。

その他にもデイリーミーティング、ウイークリーミーティングを実施していたりもします。その中で、デイリーミーティングは短期的な目標に関して、ウイークリーミーティングは長期的なプランニングに関して討議するのです。そして、同じ事務所のスタッフ同士は頻繁に小さなミーティングを日常的に持ち目的を達成するためにTryし続けるのです。

つまり、対話によりプランはどんどん変化していくのです。専門職が「対話」を重ね、その中から気づきを得て、新たなアプローチの提案をし、実際に実施してみて、それがどうだったかを再度共有し、次へ向かう。これら泥臭いことを日常的にやりつづけているのです。

日本には地域ケア会議という仕組みで多職種協働を行っています。
しかし、1事例について徹底的に専門職が向き合う形の地域ケア会議がうまく浸透しているところ、そうなっていないところに分かれており、残念ながらそうなっていないところが非常に多いという現実があります。

また多職種協働の場としサービス担当者会議なども設定されていますが、内容は形骸化しており、専門職が対象者のwell-beingな日常を追求するために「対話」を重ねるといったことがうまく機能していないという声も聞かれます。日常的に専門職が事例について対話することが非常に少ないのも現実です。

多くの現場からはその理由として「忙しい」からという声がよく聞かれます、、、。現場の専門職を忙しさから開放し、本来専門職がすべき役割=対話ができる環境づくりが求められます。

 

【6週間プログラム終了時の判定】

リエイブルメントチームが実施し、Dr.もチームメンバーの一員となっています。

日本では、地域ケア会議の判定会議などを実施するところもあったりしますが、やり方は様々で、Dr.が構成員となっているところは少ないですね。

 

情報元:

http://www.ilcjapan.org/study/doc/b_2018_2.pdf

 

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