日本はいま少子高齢化(=人口オーナス期)という社会構造の変化を目の当たりにしています。同時にテクノロジーの進化もあいまって、今まで人口増加期に作り上げた成功モデルが通じない時代となっています。
そんな社会の課題が複雑化し、今までのように答えがなく、その時点の最適解を出しそれをアップデートしていくことが求められる時代において、教育=ひとづくりの重要性が注目を浴びています。つまり、日本の教育のアップデートの必要性が求められています。文部科学省も大学教育改革などを通じて、柔軟な思考力・創造力とを有する人材の育成を目指すとされています。
千代田区立麹町中学校という公立中学の工藤勇一校長先生(工藤先生)は、今まで教育現場で当たり前とされてきた様々な事について、大きな変革を行っており、まさに教育のアップデートを現場で実践しています。
注目したいのは、教育アップデートに取り組む際に、子供たちとの関わり方(つまりサービス提供の相手)のみについて取り組んだということではないのです。
教員のパフォーマンスを追求できていない背景、すなわち業務内容の1つ1つに向き合っていくという非常に本質的で泥臭い方法を実施されているんです。
弊社がつねにお伝えしてきている、介護現場の生産性向上(介護現場の働きがいづくり・介護サービスの本質的価値向上)を実施する際の内容と共通点が非常に多く驚いた点でした。
具体的には、介護現場の生産性向上においては、自分たちの現場課題に気づき、その課題の因果関係を見える化し、取り組むべき優先順位をつけ、全業務が必要か不必要かを再度検討し、それらを具体的に実施する計画をたてたりします。また業務ごとのルールや手順書を作成し、現場の方々みんなが業務を遂行しやすい状況をつくっていったりします。
工藤先生はまさに同じことをされているのです。
最初に行ったことは現場の課題探しだったといいます。
工藤先生が見つけた160の課題とグループワークなどを実施し教員の先生それぞれから出てた約40の課題合わせて、解決すべき課題が200を超えたといいます。そして、その課題に解決すべき優先順位をつけ、事業計画を作り、1つ1つ着手していったということです。
そのなかで、教職員の会議の見直し・ルール化、電話を取る時のルール(3コール以内にとるなど)、固定担任制を廃止し業務の縦割りの解消を実施したりもしたといいます。
副校長の宮森先生は、「工藤校長が来てから、教員間のコミュニケーションは格段に濃くなった」と感じていると述べてらっしゃいます。そして、本来の目的である「生徒を自律させる」という方面においても大きな成果が生まれているといいます。
介護現場においては、利用者にとってのwell-beingな日常を追求すること(=自律支援/自立支援)が求められます。
しかし、このビジョン=目的に向かいたくても向かえない介護現場の実情があります。
よく現場から聞くのは「ひと不足」「慢性的に忙しい」などという声です。
つまり教育現場と同じく、目的を達成するためにはまずその背景にある課題部分に目を向けることが重要なのです。
「ひと」と「ひと」が掛け合わさることで新たな価値を生み出すという「教育業界」と「介護業界」の類似性から、工藤先生の取り組みは、介護現場が本質的に提供すべき価値を実践できる希望を提供してくれていると思います。
これを読んだ「今」から小さな一歩を踏み出しましょう!
情報元:
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/12128?page=4
https://anokuni.com/interview/koujimachi-junior-highschool/