イギリスにおける「リ・エイブルメント」 vol.2

川にかかる橋

イギリスにおける「リ・エイブルメント」 vol.2

― リエイブルメント 普遍的要素編 ―

 

TRAPE代表の鎌田は厚生労働省の事業において、ILC Japanのチームと度々海外を訪れヘルスケア事情をリサーチしています。1つの調査国であるイギリスのトレンドとなっている「リエイブルメント」について注目した第2段です。

「リ・エイブルメント」は「対象者が自分とって意味のあるwell-beingな日常生活を取り戻す」という事を追求するために、普遍的な要素と柔軟性・変化に富んだ要素という2つの要素の組み合わせでデザインされています。

普遍的な軸部分は、どのような展開地域でも共通しています。一方、柔軟性と変化に富んだサービスであるという事が大きな特徴であるため展開地域によってサービス内容に個性があり、また常にさらによりよい状態にするためアップデートされています。

今回は普遍的な要素の方について考えてみたいと思います。

 

【普遍的な要素】

・対象者のwell-being、自立を促進するプログラムを実施する

・医療および社会的ケアにおけるパーソンセンタード(本人中心の)アプローチが軸

・高齢者のために(for)ではなく、高齢者と共に(with)行う

・対象者が自分にとって大切な活動や仕事を行うために「対話」を重視する

・対象者が自分にとって意味のある日常を取り戻すために「自信」「能力」「スキル」を向上させるサービス

・身体能力、社会的能力(地域社会との繋がり・役割)を大切にする

・対象者をアセスメント(評価)するとき、ソーシャルケアのニーズだけではなく、対象者が必要とするニーズ全てを見る

・目標を定期的に見直し、様々な組織のスタッフが協力して、統合された形で業務を展開する(合同での会議や研修を繰り返し、多職種チームワークを重要視)

・進め方の方法については地方自治体などに任せられているが、ケアパッケージのニーズを減らしていく、予防していくということはStatutory(法的義務)

・サービス提供主体:地方自治体あるいはNHS

・対象者:退院した人でやはりサポートが必要な人。虚弱な状態となり毎日の日常生活の中での能力を向上させたい人

・サービス提供形態:基本的に訪問が多い

・期間:最大6週間(6週間を超えると社会サービスを自己負担必要―ミーンズテストへ)

・料金:無料

・サービス提供者:ソーシャルワーカー(SW)、作業療法士(OT)、理学療法士(PT)、ケアワ

ーカー(CW)など

 

 

普遍的要素の内容は、どれをとっても理想的で、日本の介護現場でも重要視しているものです。ここで重要なのはこれらを理想で終わらせず、実践しているという点です。

日本においても地域づくりの手段である総合事業において、これらに近い要素を表現している市町村、事業者、住民が存在しています。しかし日本ではこれら頑張っている方々を「モデル」と表現し、彼らの成功した方法論のみを横展開する、もしくは真似るという安易な方法をとってしまいがちです。

結果、総合事業において多様なサービスを実施している市町村は3割程度ということで、ほとんど展開されていないということが浮き彫りになっています(厚労省がNTTデータ経営研究所に委託して2018年10月に行った調査があり)。

イギリスでは、あるべきリエイブルメントサービスを展開するために多くの困難があったと、このサービスを作りあげた市の担当者は語っていました。そこには、現実をみて不変だと捉え動くことを諦めるマインドではなく、自分たちのビジョンを明確にした上で現実を要素分解し、できることがあると捉え、1つ1つ行動していくことが何より重要です。

自分(たち)の思いと普遍的要素を合わせてみて、みんなで「対話」し、ビジョンを共有することから始めましょう!

 

情報元:

http://www.ilcjapan.org/study/doc/b_2018_2.pdf

https://report.joint-kaigo.com/article-11/pg588.html